気になる表現
場合によってはある。
場合によってはありうる。
この二つの表現はどう違うのでしょうか?
政治家が「場合によってはありうる。」と表現していたので気になりました。
たとえば、
【問い合わせ】
☆明日、雨天の場合、野球の試合は中止になりますか?
と聞かれた場合の返答として、
「場合によってはある。」
「場合によってはありうる。」
でどういう意味の違いが出てくるのでしょうか?
場合によってはある
上の【問い合わせ】に対して、「場合によってはあります。」と返答した場合、「場合によっては中止となります。」、つまり、「雨天の場合、中止となることがあります。」、という意味になります。
これには、雨天の場合でも雨天の程度によっては中止とならない場合もあるという状況が含意されています。
「場合によってはあります。」には、
“中止となる雨天”と
“中止とならない雨天”
があるわけです。
場合によってはありうる
【問い合わせ】
☆明日、雨天の場合、野球の試合は中止になりますか?
に対して、「場合によってはありうる。」と返答した場合、「場合によっては中止となることもありうる。」、つまり、「場合によっては中止となる可能性がある」という意味になります。
これには、雨天の場合でも雨天の程度によっては中止とならない可能性もあるという状況が含意されています。
「場合によってはありうる。」には、
“中止となる雨天”と
“中止とならない雨天”
があり、その点では「場合によってはある。」と同じといえます。
どこがちがうのだろう?
「場合によってはある。」
「場合によってはありうる。」
は、いずれも、
“中止となる雨天”と
“中止とならない雨天”
を含む表現ですが、どこが違うのでしょうか?
「ある」(断定)
「場合によってはある。」の「ある」は断定です。
中止となる雨天と中止とならない雨天があると断定していますから、中止となる雨天と中止とならない雨天の判断基準がその発言(表現)時に明確だということです。
どういう雨天の場合に中止となり、どういう雨天の場合に中止とならないのですか?と質問をすれば回答を得られます。
「ありうる」(可能性)
これに対して、「場合によってはありうる。」の「ありうる」は可能性です。可能性ですから、発言(表現)時からみた将来に起こることの単なる予想にすぎず、発言(表現)時点での断定はできないということです。ですから、「場合によってはありうる。」という表現は、“中止となる雨天”と“中止とならない雨天”のいずれであるかの判断基準が発言(表現)時には明らかではない場合(またはなんらかの理由で明らかにしたくない場合)に用いられる表現ということになります。
---終---
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