前回の記事は、
停止に向かっている最中という表現は可能なのか?<言語分析編>停止中
をご覧ください。
ずっと好きでした!
ずっと好きでした!
付き合ってください。
よく聞く表現です。
なぜ過去形?
ですが、「ずっと好きでした!」はなぜ過去形を用いているのでしょうか?
過去形には、過去はそうだったが、今は違うというニュアンスがあります。そうであれば、「ずっと好きでした!付き合ってください。」はおかしい日本語となりそうです。
たとえば、
好きでした。
付き合ってください。
と言われた相手は、「ん?」となるはずです。
過去形だよね?
じゃ今は好きじゃないと言うことでしょ?
なのになんで「付き合ってください」なの?
となるはずです。
しかし、
ずっと好きでした!
付き合ってください。
には、なんら違和感はありません。
逆に、
ずっと好きです!付き合ってください。
には違和感があります。
なぜなのでしょうか?
一途
「ずっと」とは、
同じ状態が切れ目なく続くさま(広辞苑)
のことです。
ということは、「ずっと好きでした!」とは、これまでこんなに長い間好きだと思ってきたという事実を表現する、一途さを表現する言葉です。この事実は、告白する勇気を支える重要な事実ですし、この言葉は、好きだという気持ちは一過性のものではなく本物なんだ(一途だ)という自分の本気度を相手に伝えるための言葉でもあります。
今は?
過去形での表現なので、じゃ今はどうなの?となりますが、告白をしているということは当然今も好きであることを前提とするので、「付き合ってください」と自然につながります。
発言時点は、告白時現在で、
告白時現在に、「ずっと好きでした!」と言うことで、“あなたを好きだと思う気持ちは一過性のものではなく本物なんです、一途なんですと、自分の本気度を相手に伝え”、
「付き合ってください」で ”当然今も好きです“と伝えているのです(そうでないと、「付き合ってください」とは言わないはずです)。
現在形の違和感
ずっと好きです!付き合ってください。
には違和感があります。
なぜでしょうか?
「ずっと好きです。」という表現は、「これからもずっと好きです。」と言うように、「これからも」と自然につながる表現です。
要するに、「ずっと好きです。」とは、将来も好きだという感情が続くことを表す表現です。ただ、将来のことなので、その感情が続くかどうかは不確実です。
今後も好きだとの不確実な感情が続くことを根拠に告白をしても、告白された側に告白者の本気度、一途さは伝わりにくいと思います。
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もっとも、慎重な人であれば、これからも好きと言ってくれる人じゃないと嫌だ、ということはあるかと思います。また、好きと思ったらすぐに告白する人から告白されても軽い感じでいまいちその好きが信用できないということもあるでしょう。
その場合でしたら、好きという思いの強さ・一途さを担保する言葉を求めるのではないでしょうか?その場合でしたら、「(これからも)ずっと好きです。付き合ってください。」という表現での告白はあると思います。
完璧なのは…
表現として完璧なのは、
ずっと好きでした!
これからも好きです!
付き合ってください。
ということになると思います。
---シリーズ続---
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