関連トピックはこちらから↓
英語教育あれこれ
「英語教育論争史」
英語教育をめぐっては、下の二つのどちらを重視するのかで争いがあります。
br>
1 英会話をはじめとする実用英語
2 文法・読解中心英語
br>
それはもちろん、
目指すべきは、両方なのは間違いありません。
いわゆる、「読み」「書き」「聞く」「話す」の4技能が必要なのは明らかなのですが、問題は、それら4技能を学校教育で実施して英語が使える日本人を学校教育で育成することができるのか?ということです。
米国国務省のSLS
アメリカ国務省(日本の外務省に相当)には、
外交官などの政府職員向けの言語教育を担当するクラス (SLS) なるものがあるそうで、そこでは、英語を基準にして世界の言語を習得難易度別に4つのカテゴリーにわけていて、英語母語話者にとって日本語は、習得が超困難な言語に分類され(他にはアラビア語、中国語と韓国語)、目標(0-運用能力なし-から5-母語話者レベル-の6段階中の3レベルが目標)達成までに2,200時間が必要だとされているそうです。英語母語話者にとって一番習得が容易なフランス語、スペイン語やイタリア語などは、先の目標達成までに600〜750時間で済むとされていることからすると、英語母語話者が日本語のレベル3に到達するためには2.9~3.6倍もの時間がかかる計算になります。
日本語→英語では?
英語→日本語がそうであれば、当然日本語→英語も同じ計算になります。
日本の学校教育では中高の6年間で毎週4時間の英語の授業を実施したとしても840時間にしかならない…。SLSが求める時間数の40%弱にしかならない。しかもSLSが求める時間数は、SLSが政府職員限定なので意欲も能力も既に高い人たちを想定して設定されている…。
到底学校教育で英語が使える日本人を育成することは不可能だと思います。
目標が高いことは良いと思いますが、目標達成の具体策が実現不能なのであれば絵に描いた餅にすぎません。絵に描いた餅であっても教育現場ではその目的達成に向けて動かないといけないわけですが、不可能を強いることで先生と生徒が徒に疲労困憊になっていないかと心配になります。
生徒の勉強は英語だけでは無いので、学校教育での英語は基礎レベルに限定していくべきでは無いかなぁと思います。風呂敷を広げ過ぎると苦痛しか生じません。
基礎レベルとは?
とはいえ、
基礎レベルというのが曲者で、個人的には文法でいえば中学3年間で習う範囲で十分だろうと思います。英会話であれば中2あたりまでの文法事項を話せて聞けるようになれれば良いのではないかと勝手に思っています。それでも進みすぎかと思いますが。
中学校で習う文法事項を完璧に使いこなせるようにすることが基礎には必要かと思います。使えない文法知識があってもまさに百害あって一理なしです。
一例を挙げれば、
br>
[ I is the ninth. ]
br>
という英文(正しい英文です)を正しく理解することができるか?が基礎の一つになると思います(本来は前後の文脈がありますが、これだけを切り出しています)。
中1で習う be動詞では、[ I ] に対応する be動詞は [ am ] なので、上の例文は、[ I am ~ ]の間違いでは?と思ってしまいますが、[ I ]につく be動詞の [ am ] は、[ I ] が「私」という意味の [ I ] の場合のルールです。
とすると、上の例文の [ I ] は「私」という意味での [ I ] ではないということになります。アルファベットの [ I ] のことを言っているので、[ am ] ではなく [ is ] となっているわけです(ちなみに意味は、「アルファベットの I は9番目です。」となります)。
br>
[ K is the eleventh. ]
br>
も構造は全く同じです。
be動詞は中1の一番初めに習う基本中の基本ですが、意外におろそかにされる文法事項だと思います。「私」という意味の [ I ] と [ am ] がつながるということを理解しておくことが基本です。その基本なくして関係代名詞だの連鎖関係代名詞だのと覚えることにまったく意味はありません。理屈(文法)を押さえた上であとは音読やシャドーイングなどでの反復学習あるのみ(英語に限りませんが)です。
生徒と先生への不要な負担がなくなることを願っています!
---終---
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
日頃からのご支援、誠にありがとうございます。
翻訳特にリーガル翻訳について正しい理解をしていただきたく、下記のブログに参加しております。
応援クリックをよろしくお願いいたします。