自由の女神の自由はliberty?freedom?
自由は、libertyなのか?freedomなのか?
答えは簡単ですね。
[Statue of Liberty](自由の女神)なので、
正解は[liberty]です。
なぜliberty?
では、
なぜ、[liberty]なのでしょうか?
同じ「自由」という意味で[freedom]という単語もあるなか、自由の女神像では、[liberty]を用いています。
ここで、
[liberty]と[freedom]の違いを見ていきましょう。
自由を意味するlibertyとfreedomの違い
liberty=抑圧・圧政からの解放
freedom=束縛のないこと
[liberty]も[freedom]もどちらも「自由」という意味ではありますが、
この点、
[liberty]の自由は、抑圧・圧政からの解放を重視した自由で、
対して、
[freedom]の自由は、束縛がなく好きに動けるという自由です。
このことを前提に、自由の女神の[liberty]を見てみましょう。
Statue of “Liberty”
まず、自由の女神像は、アメリカ合衆国の独立100周年を記念してフランスからアメリカに贈られた像です。
この像は、アメリカ合衆国の自由と民主主義を象徴しています。
この像が贈られた背景には、アメリカ独立宣言があります。
アメリカ合衆国は、当時の宗主国であったイギリスの植民地政策に抵抗して1776年に独立宣言を出してイギリスから独立しました(その後、7年間もアメリカ独立戦争は続き、1783年に終結)。
このアメリカ独立宣言が出された原因は複数ありますが、大きな問題は、アメリカへの課税をイギリス議会だけで決めていたことでした。
「代表なくして課税なし」という標語もあったように、アメリカに住む人々からはイギリスによる課税は抑圧であり、イギリスの圧政だったのです。
そのイギリスによる抑圧・圧政から自分達の自由を勝ち取るための闘争がアメリカ独立戦争につながり「アメリカ独立宣言」を経てアメリカはイギリスからの独立を勝ち取りました。
その結果がアメリカ合衆国の誕生です。
このようなアメリカ独立の歴史(イギリスの圧政からの解放)に照らして、フランス側からアメリカ側に贈られたのが「自由の女神像」ですので、そこでの「自由」は、抑圧・圧政からの解放を意味する[liberty]となるのです。
焦点の違い
[liberty]と[freedom]には焦点の違いがあります。
まず、
[liberty]は、自由とは言っても、「解放」に重きを置く自由で、どうやって自由になったかという自由獲得の過程にも焦点を当てた言葉です。
これに対して、
[freedom]は、束縛がなく好きに動ける自由で、[liberty]とは違って、自由獲得の過程に焦点を当てていません。今の時点で、束縛なく好きに動けるかどうかに焦点を当てている言葉です。
この焦点の違いを意識して[liberty]と[freedom]を使い分ける必要があります。
前回のコモン・ローとエクイティ<リーガル翻訳編>lien(リーエン)もご一読いただけると幸いです。
---次話へ続く---
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ニューヨーク港の一隅にある像の通称、”Statue of Liberty”を挙げ、これを「自由の女神像」とされていますが、連邦議会議事堂ドームの先端に立つ像は公称で”Statue of Freedom”です。この像の和訳も「自由の女神」とされますか。一方はLibertyでなければならず、他方はFreedomでなければなりません。つまり、LibertyもFreedomも「自由」としたのでは、両者の意味が識別できないことになります。
私はアマゾンKindle版で、「外向のLiberty・内向のFreedom・自向の自由」を出しています。ご覧の機会を頂ければ幸いです。
小林様
コメントありがとうございます。
「libertyもfreedomも「自由」としたのでは、両者の意味が識別できない」とのご指摘については私もそう思っております。
[Statue of Liberty]についは、[liberty]の正確な意味を汲んだ訳として個人的には、「解放の女神像」としたいところです。
ですが、一般的に「自由の女神像」と訳されているため、その定訳を用いた上で、その「自由」の意味が[freedom]とは違うことを強調した次第です。
小林様と考え方は同じだと思っております。
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