ワーケーションって?
政府が「ワーケーション」を推進するというニュースがありました。
「ワーケーション(workation)」とは、「ワーク(work)」(仕事)と「バケーション(vacation)」(休暇)を組み合わせた造語で、米国等で広まっている考えとのことです。休暇先で仕事をしながら過ごす休暇のことをいいます。
ニュースでは、その一つとして、オフィスをキャンプ場に移す、という事例が紹介されていました。
ここで気になったのは、「オフィスをキャンプ場に移す」という表現です。
オフィスをキャンプ場に移せるのだろうか?
物理的なオフィスをキャンプ場に移すことは可能でしょう。要は、キャンプ場にオフィスを作ればいいからです。
ですが、ここで言っているのはそういう意味ではなく、オフィス機能をキャンプ場に移すということです。
オフィスとして私たちがまず思いつくのは建物ですが、しかし、オフィス機能の必須要素は建物以外にあります。
一番重要なのは、オフィスで働く人間です。そして、通信手段や商談相手も必須です。
現在では、文房具がなくてもパソコンさえあればメールでの電子的なやり取りやオンラインでの双方向会議が可能です。
・人間
・パソコン
・ネット回線
さえあればオフィスは機能するといえます。
そこで、人間がパソコンとネット回線を持ってキャンプ場に移動すれば、キャンプ場で仕事をすることができますから「オフィスをキャンプ場に移す」ことが可能となるわけです。
逆に…
では逆に、
キャンプ場をオフィスに移す
ことはできるのでしょうか?
先ほどの「オフィスをキャンプ場に移す」の考え方を借用すれば、
キャンプ機能をオフィスに移せばいいだろう
ということになりそうです。
さて、キャンプ機能をオフィスに移すことはできるのでしょうか?
キャンプとは?
「キャンプ」とは何でしょうか?
広辞苑(第七版)によれば、
野営。…テントを張って泊まること。「夏休みに山でキャンプする」
とあります。
大辞林(第四版)では、
山・高原・海岸などにテントを張り、野営すること。
とあります。
語義的にキャンプは自然と密接に結びついた概念になっています。私たちがキャンプに抱くイメージも辞書通りかと思います。
もともと「キャンプ」は”camp”という英語ですから英語での説明を見てみます。
英英辞典(Merriam-Webster’s Advanced LEARNER’S ENGLISH DICTIONARY)では、
a place that is usually far away from cities and that has tents, small houses, etc., that people can live in for a short period of time.
(通常、都市から遠いところにあり、人々が短期間住むことができるテントや簡易な家などがある場所)
a place usually in the mountains or by a lake where young people can do different activities during the summer.
(通常、山や湖の傍にある、若い人々が夏の間に様々な活動をすることができる場所)
とあります。
都市から遠く山や湖という自然のなかでなされる活動、が”camp”なのです。
キャンプの機能は、自然と密接に結びついているのです。
そうであれば、「キャンプ」をする場所を山や湖といった自然に乏しい都市の中に移すことは考えにくいといえます。
まとめ
「オフィスをキャンプ場に移す」とは、オフィス機能をキャンプ場に移すことと考えることが可能でした。
逆に、
キャンプ場が、都市から遠く山や湖という自然の中に存在する場を意味し、キャンプの機能が自然と密接不可分に結びついていることからすると、そのキャンプの機能を自然から離れた都市にある物理的なオフィスに移すことは考えにくいことになります。
「キャンプ場をオフィスに移す」ことは考えにくいでしょう。
追記
ベランダでのグランピング(高規格キャンプ)を組み合わせた「ベランピング」という言葉があります。家のベランダにアウトドア空間を作ってキャンプの雰囲気を味わうということだと思います。
キャンプの機能を自宅に持ち込むという発想ですが、上記のように「キャンプ」の機能は、自然と密接に結びついていますから都市にキャンプ機能を持ち込むことは困難で、上の意味でキャンプを捉えるならば、ベランピングは厳密にはキャンプではないことになると思います。
要は、「キャンプ」概念をアウトドアと広くとらえるのか、自然と密接に結びついたものと捉えるか、という「キャンプ」の使い方になりますが。
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