相手を怒らせる「で」
たとえば、
妻(夫):お帰り。夕飯は蕎麦にする?うどんにする?
夫(妻):うーん、うどんでいいかな。
という会話があると、必ず妻(夫)は怒ります。夕飯はあきらめた方がいいかもしれません。
何故でしょうか?
格助詞の「で」
格助詞「で」には、多くの用法があります(日本語文法学会編「日本語文法事典」(大修館書店、2014年)参照)。
1道具・手段の「で」
(1)洋包丁で牛肉を切りました。
(2)東京から埼玉まで自家用車で行きました。
2動作・出来事の場所の「で」
(1)学校の校庭でテニスをしました。
(2)高速道路で事故がありました。
3原因の「で」
(1)渋滞で遅刻しました。
(2)台風で自転車が飛ばされました。
4~~
上記会話の「で」は?
うどんでいいかな。
は何故、妻(夫)を怒らせるのでしょうか?
ここでの「で」は、「道具・手段」としての「で」です。
上記夫(妻)の発言は、蕎麦とうどんのどちらにするかを聞かれた夫(妻)が(とりあえず)「うどんでいいかな。」と言ったことから妻(夫)は怒っているのです。どちらも特に食べたいわけではないけど、どちらかと言われれば、とりあえずは「うどん」かな、というニュアンスです。
本当に食べたい食べ物(例えばカレー)を食べることが目的(望み)だけど、お腹は空いているので、胃袋を充たす手段としてとりあえず「うどん」というわけです。
「うどんでいいかな。」は、うどんを手段にして食欲を充たすよ。という意味になっています。
洋包丁を手段にして牛肉を切りました。
うどんを手段にして食欲を充たします。
同じような構造となっています。
喧嘩をしないために
妻(夫):お帰り。夕飯は蕎麦にする?うどんにする?
に対する正しい返事は、
夫(妻):うどんがいい!
です。
ちなみに、「が」もやっかいです
ここでの「が」は格助詞で、格助詞の「が」もややこしいので次の機会に検討したいと思います。
正しい日本語
正しい日本語の使用は翻訳において必須です。リーガル翻訳ならなおさらです。
---次話へ続く---
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