notの解釈<英文法編>notの作用域

どういう意味?

He is not happy.

どういう意味でしょうか?
“not”がどこにつくかで次の2つの文の解釈があります(ちなみに、*He is no happy. *は文法的に不適格な文という意味です。【この場合にno、あの場合にnot<英文法編>noとnot】を参照してください。)。

a.  He's not happy.
b.  He isn't happy.

aでは、”not”は形容詞の[happy]を修飾し、
bでは、”not”はbe動詞の[is]を修飾しています。
要は、
“not”が後ろの[happy]を修飾するのか?
“not”が前の[is]を修飾するのか?
の違いです。
どちらなのかで意味が違ってきます。

“not”の作用域

aでは、”not”が及ぶ範囲(作用域)は、[happy]です。
bでは、”not”の作用域は、[is]です。
“not”の作用域がaとbで変わることで、どう意味が変わるのでしょうか?
直訳ですと、

a.  「彼は です(He's) | 幸せではない(not happy)」。
b.  「彼は(He) | ではない(isn’t) | 幸せ(happy)」。

aでは、”not”の作用域は、[happy]という語のみですからこの”not”は語否定です。「幸せではない=不幸」ですから、aは、「彼は | 不幸 | です。」という意味になります。
つまり、aは、不幸の肯定です。

bでは、”not”の作用域は、[is]で、[He]と[happy]の関係を否定していますから文否定です。「彼は | 幸せ | ではない。」という意味です。
つまり、幸せの否定です(不幸の肯定までは意味していません)。

a.  「彼は | 不幸 | です。」←不幸の肯定
b.  「彼は | 幸せ | ではない。」←幸せの否定

論理式で書けば、

a.  A=¬B
b.  AB

He(A)
幸せ(B)
不幸(¬B)
isn’t(≠)
is(=)

となり全然違います。
図示をすると、次のようになります。

まとめ

“not”の作用域がどうなっているかで言葉の意味が変わるので、翻訳をする際には、”not”の位置に注意する必要があります。

---終---

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
日頃からのご支援、誠にありがとうございます。
翻訳特にリーガル翻訳について正しい理解をしていただきたく、下記のブログに参加しております。
応援クリックをよろしくお願いいたします。
にほんブログ村 英語ブログ 英語 通訳・翻訳へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です