原義が大切!<語用論>demonstrate, certify

証明する

証明する

証明するを表す単語としては、[demonstrate] と [certify] があります。
リーガル文書でよく使うのは [certify] の方です。
この二つの単語はどう違うのでしょうか?

語義

この二つの単語のうち、[demonstrate] の方がわかりやすいので、[demonstrate] から検討してみましょう。

[demonstrate] は、

de(完全に)+monstr(警告)+ate(する)
完全に警告する

Genius 6th

というのが原義です。
警告」という意味を持つ語なのです。
ここで、「警告」とは、

何らかの適切な行動をとらないと不都合な事実が生じるので、適切に対処すべきだと相手に告げること

類語大辞典(講談社)

この警告の意味は、行進などによる、ある意見に賛成・反対する示威運動 (demonstration) によく表れています。
示威運動というのはまさに、市民・国民が、ある政策に対して、その政策を実施すると不都合な事実が生じるので、適切に対処すべき(別の政策を実施すべき)だと政府等に告げることなので、「警告」の意味を持つ [demonstration] が用いられているのです。

警告⇒論証(証明)

[demonstrate] には、「論証(証明)」という意味もあります。
これは、「警告」という原義からはなかなか出てこない意味のように思えます。
ですが、原義の「警告」の意味をもう一度見てみましょう。

何らかの適切な行動をとらないと不都合な事実が生じるので、適切に対処すべきだと相手に告げること

類語大辞典(講談社)

この警告の意味によれば、警告をする者は、単に「~すべき」と結論だけを言っているのではなく、「~なので」という理由をきちんと言っています。
つまり、適切な対処法という結論を言うだけではなく、その結論に至る理由付けも言って警告しているのです。
この論理形式(~なので~すべき)に着目すると論証の形式になっていることがわかります。理由を述べてある結論を証明する(=論証)という論証形式になっているので、そこから [demonstrate] には、「論証」という意味が付与されているのです。
ですから、[demonstrate] は、単に「証明」と訳するよりは、証明過程も含めた「論証」という訳がその原義からは適切です。

certify は?

これに対して、[certify] はどうでしょうか?
[certify] も「証明」という意味ですが、これは、

(物・事)を(文書で)証明する

Genius 6th

という意味です。
先ほどの [demonstrate] との比較で言えば、結論の証明で、証明過程を含んでいません。
たとえば、英検に合格した場合には、合格証書が届きます。そこには、[Certificate] (“certify”の名詞) と記載があります。合格結果の証明です。合格に至る過程を証明するという意味はありません。
ですので、合格を論証するという [demonstrate] ではなく、[certify] なのです。

まとめ

同じ「証明する」という訳がある単語であっても、語が違う以上、まったく同じ意味ではないはずです。全く同じ意味でしたら別の語になっている意味がないですから。
ですので、語が違う以上、違いを意識して訳し分けることが不可欠です。
前回の、come inとcome intoの違い<英文法探求編>句動詞
もご一読いただけると幸いです。

---次話へ続く---

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