「又は」「若しくは」の注意点(リーガル翻訳士の裏側・7)

今回は、前回取り上げることができなかった「又は」と「若しくは」です。
英語だと、[or]です。
「選択」を表す「又は」と「若しくは」は、法律では、
「又は」が一番大きな分岐点で用いられ、あとは、全て「若しくは」が使われます。
「A又はB若しくはC」
だと、
「A」と「BC」で分岐します。
「A又はB、C若しくはD]でも同じです。
「A」と「BCD」で分岐します。


例えば、
「消しゴム」「鉛筆」「ボールペン」で説明したいと思います。
考えられるのは、
「消しゴム又は鉛筆若しくはボールペン」
です。
これは、
「消しゴム」と「鉛筆、ボールペン」の間に一番大きな分岐を表す「又は」が用いられているため、
「消しゴム」と「鉛筆、ボールペン」で大きく分岐することを意味します。
その分岐基準は、
”消すもの”と、”書くもの”
です。


また、
「消しゴム若しくは鉛筆又はボールペン」
という例も考えられます。
もうお分かりかと思いますが、これは、
「消しゴム、鉛筆」と「ボールペン」で大きく分岐します。
又は」の位置に注意すれば分かります。
分岐の基準は、いろいろありそうですが、たとえば、
学生が使用する文房具(消しゴム、鉛筆)と大人が使用する文房具(ボールペン)という基準があると思います。


要するに、基準によって「又は」「若しくは」の位置が変わってきます。
リーガルでは、その基準は、法的に決まっているのがほとんどですので、法律を知らないと[or]の訳が困難になるわけです。

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