押すと流れる?流すために押す?<原文解釈編>押す

押すと流れる?流すために押す?

Press the button to flush the toilet.

考えられる訳として、次の2つがあります。

1 ボタンを押すと、トイレの水が流れます(原因結果型)。
2 トイレの水を流すためにボタンを押してください(目的手段型)。

皆様は、1と2のどちらが良いと思いますか?

意味が変わるわけではないですが…

上の1と2のいずれであっても意味が変わるわけではないのでこだわる必要はないように思われるかもしれません。
ですが、1と2のどちらがより自然な訳か?という点に関わってくる部分ですので、翻訳者はこだわります。
英文の意味としては、1と2のいずれの意味とも取れます。この一文だけではなんとも言えませんし、水洗トイレの普及具合やレバー式ではなくボタンを押すタイプの水洗トイレの普及具合によっても訳は変わってくるかと思います。

結果型

1の結果型は、そのボタンの機能を説明する意味になります。
ボタンを押す(原因)とトイレの水が流れます(結果)。
という説明です。

目的型

2の目的型は、トイレの水を流したい場合にどうしたら良いかを伝える文となります。

結果型vs目的型

どちらの訳が自然なのでしょうか?
水洗式トイレが当たり前の状況ではない社会では1の結果型での訳が自然かと思います。ボタンを押す行為とトイレの水が流れる結果との間の因果関係を伝える方が利用者に親切だからです。
水洗式トイレが当たり前の状況では2の目的型の訳が自然だと思います。ボタン式の水洗トイレにはレバーがない(ことも多い)ので、トイレの水を流そうとする際、レバー式しか知らない人はどうしたら良いかわからないからです。トイレの水を流すためには、レバーではなくこのボタンを押してください、と説明された方が利用者の疑問(トイレの水を流したいけど、レバーがない…。どうしたら良いのだろうか?)に直接答える訳になると思います。

日本では

日本のトイレは水洗式の普及率が90%を超えているとのことですので、2の目的型が自然な訳だろうと思います。
ですが…

世界では

世界では、水洗式トイレの普及率が日本ほどではない国も多くあります。
アジアのある国では普及率がやっと49%になったという国もあります。
そのような外国からの観光客も日本にやってきます。ということは、観光客をターゲットとする店舗では、水洗式トイレが当たり前ではない、という前提で、1の結果型での訳をすることが良いと思います。

訳をする際に考慮すべき事柄

短くて単純そうに見える英文でしたが、訳をする際に考慮すべき事柄が多くありました。

・日本での水洗トイレの普及率
・外国での水洗トイレの普及率
・観光客をターゲットにしている店舗かどうか

すくなくともこの3つを考慮した上で、1の結果型と2の目的型のどちらが自然な訳なのかを判断していくのが翻訳という作業の重要な一つの側面です。
英語力がないとだめですが、英語力だけでもだめです。
その訳を読む方々を想像し、どういった人々がその訳を読むのかに配慮した翻訳が素晴らしい翻訳なのだと思います。
読み手にも配慮した訳は、機械翻訳ではできない、人間翻訳でしか実現することができないことだと思います。

---終---

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