リーガル翻訳では初めに正確性ありき
リーガル翻訳においては、何を置いても「正確性」が第一です。
(過去記事
犬、ニワトリ、マグロの関係<正確性編>及び、並びに
含むのか、含まないのか<正確性編>超、未満、以上、以下
揚げ足を取られないように!<正確性 翻訳とは?>搭乗拒否
裏は必ずしも真ならず<正確性編>1
もご覧いただければと思います。)
契約書などのリーガル文書は、裁判所で紛争解決基準として用いられるからです。
今回は、「その他」「その他の」を取り上げます。
「の」の有無でどう違う?
その他
Aその他B
は、AがBに含まれていません。
AとBは並列関係です。
たとえば、
犬その他猫
です。犬は猫に含まれていませんから。
その他の
Aその他のB
は、AがBに含まれています。
たとえば、
犬その他の哺乳類
です。犬は哺乳類ですから。
リーガル翻訳上での誤訳
もし、
犬その他の猫
だとすると、犬は猫に含まれている、ということになり、リーガルの分野では内容的に間違いです。
では、
英語で、
~ dog other cat ~
とある場合、「その他の」「その他」のいずれなのでしょうか?
このotherは、「その他の」「その他」いずれにも使いますから正確に使い分けないといけません。
内容から見て、
犬その他猫
が正しい訳となります。
犬は猫に含まれておらず、並列関係に立つからです。
ここでは、
犬と猫の関係の理解が重要となります。
犬と猫は同じ哺乳類とは言え、生物学上別の科に分類されていますし、一般的にも犬と猫は別の生物で、犬が猫に、猫が犬に含まれているとは考えられていません。
ですので、
犬と猫を並列に表す「犬その他猫」が正しい訳となるのです。
このように、
犬と猫の関係という内容の理解があって初めて正しく翻訳することができるのです。
正確な翻訳には
内容に関する正しい理解があって初めて正確に翻訳をすることができるわけですから、翻訳にあたっては内容の正しい理解が必須です。
犬と猫の例では、常識で判断できるので「その他の」と「その他」の使い分けは簡単だっと思いますが、リーガル文書となると、法律用語の正確な理解が必要となってきますので「その他の」と「その他」の使い分けは簡単ではありません。
ここが、翻訳にあたって法律の専門知識が問われる所以です。
法律の専門知識がなければ、英語ができても正確に [other] を使い分けることができません。
法律の専門知識なく翻訳をしてしますと、「犬その他の猫」といった誤訳をすることが起こってきます。
---次話へ続く---
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